美しきシャトー・マルゴー

 私はシャトー・マルゴーと聞くと、ワインそのものよりも、シャトーの方を思い浮かべます。いつか写真で見たのですが、その佇まいがとても美 しいのですよ。まっすぐな道の先、青い空に映える真っ白な建物は、周囲の清浄な空気まで、感じさせます。初めて見た時は、まるで貴族でも住んでいそうと思ったものですが、それこそ、歴史の教科書でしか知らないような王侯貴族が生きる時代に存在していたのですから、豪奢な建物になっているのも当然ですよね。
 その美麗な姿は、シャトー・マルゴーのエチケットでも見ることができます。写真は派手な色合いを利用せず、あえてシンプルなラインでまとめられているところが、ストイックだと感じるのは、私だけでしょうか。エチケットと味のイメージが見事に一致しているというのもさすがだなあと思います。
 だってシャトー・マルゴーは、とても優美な味わいがするんですもの。たとえるな らば、よくヨーロッパの絵画にあるような、ちょっとふくよかな貴婦人の柔肌のイメージです。滑らかで、豊潤で、穏やかに見えていろいろなものを内包している……まさに、魅力的な女性そのままですね。
 建物、歴史、関わってきた人々など、シャトー・マルゴーを彩るものは多く、だからこそこれほど素晴らしいワインとして完成しているのでしょう。いつか実際にあの壮麗なシャトーを、この目で見てみたいものです。その時は可能な限りお洒落をして、長き歴史に失礼のないようにしないといけませんね。